下部内視鏡検査は大腸内視鏡や大腸カメラと呼ばれることもあります。
上部消化管内視鏡(胃カメラ)と同様に操作部と本体部に分かれ、操作部の細長いスコープの先端には、小型CCDや照明、空気や水を送るノズル、物をつかむ鉗子口などが搭載されています。
この細長いスコープの部分を肛門から挿入していくことで、大腸(直腸、結腸)や小腸の一部の内部を撮影することができ、その様子は本体部のモニタを通して確認できるようになります。
なお観察中に病変が疑われる組織があれば一部を採取し、顕微鏡で詳細を調べる検査(生検)を行います。
このほか検査時にポリープが腸内で見つかり、内視鏡による切除が可能と医師が判断した場合は、ポリープ切除(日帰り手術)が行われます。
以下の症状がみられるなどした場合は、大腸カメラ(下部消化管内視鏡)による検査をおすすめします。
- 便潜血検査の結果、陽性と判定された
- 便通異常(便秘、下痢)が慢性的に続いている
- 腹痛やお腹のハリが続いている
- 家族に大腸がんや大腸ポリープの治療を受けた方がいる
- 原因が特定できない貧血が続いている
- 急激に体重が減少している
- 下血や血便が出ている
など
大腸カメラで発見できる病気
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 大腸憩室症
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
- 虚血性腸炎
- 腸結核
- 痔核
など
大腸カメラ検査の流れ
大腸カメラによる検査を希望される場合、まず当院の外来(消化器内科)を一度ご受診ください。
その目的は、受診者の健康状態を把握したり、検査に耐えられるかどうかを確認したりするためです。
また常用薬の有無を確認し、医師が必要と判断した場合は検査前に休薬など制限を受けることがあるほか、感染症等を調べるための血液検査を行うこともあります。
上記のほかにも、検査時は腸の中を空っぽにしておく必要があるので、検査前の食事制限(検査日の3日前から食物繊維が豊富な食品や高脂肪食は避ける 等)や下剤の服用方法の説明なども行います。
検査前日の注意点
前日の夕食は20時までに済ますようにし、消化の良い食事(うどん、おかゆ、白身の魚、卵 等)をとるようにします。
飲み物については、水やお茶であれば制限されることはありません。
前日に下剤の服用が必要であれば、医師の指示通りに飲むようにしてください。
検査当日の注意点
起床後は、検査が終わるまで絶食となります。
常用薬につきましては、事前に医師と相談した通りにしてください。
水やお茶に関しては制限ありませんが、タバコを吸われる方は検査が終わるまでご遠慮ください。
また検査当日は、ご自身の運転による移動は控え、来院までの道のりは公共交通機関をご利用ください。
ご来院後の検査の流れ
来院後は受付にて検査の旨を伝えてください。
受付を終えたら検査をするための準備を行っていきます。
- 下剤を服用する 2リットル程度の腸管洗浄液(下剤)をゆっくり時間をかけて飲みます。その後、何度がトイレを往復し、便の色が透明になれば、検査の準備が整ったことになります。
- 鎮静剤の投与
大腸カメラは肛門から内視鏡を腸内に向けて挿入していきますが、その際に空気も一緒に入ります。これによって腹部のハリや腹痛を訴えるなど、検査時は苦しい思いをすることがあります。この状態をできるだけ軽減するために行うのが鎮静剤の投与です。
鎮静剤によって、検査中は意識が薄らいでいくので、苦しい状態は緩和されるようになります。 - 検査の開始(内視鏡の挿入)
検査台で左側面を下にして横になった状態で検査開始となります。内視鏡を肛門から挿入していき、大腸(直腸、結腸)や小腸の一部の内部が撮影でき、本体のモニタを通して、病変などを確認できるようになります。
がんなどが疑われる組織があれば組織を一部採取し、顕微鏡で詳細を調べる生検を行います。
またポリープを発見し、内視鏡での切除が可能と医師が判断した場合は、その場で切除することがあります(日帰り手術)。 - 検査終了
観察のみであれば20~30分程度で終了します(個人差はあります)。
鎮静剤を使用した場合は、検査終了後も30分~1時間程度は院内で安静に過ごします。
検査後の注意点
- 飲食に関しては、検査終了後1時間が経過し、最初に水を飲んでむせることがなければ、問題なく食事ができます(観察のみの場合)
- 生検やポリープ切除を行った場合は、検査後1~2週間程度はできるだけ消化の良いものを選択し、刺激が強い食べ物や食物繊維が豊富な食品などは控えます。食事内容については医師の指示に従ってください。また飲酒や喫煙、激しい運動も1週間程度は抑制します。
- 検査当日の入浴はシャワーのみが望ましいです